無農薬・無肥料へのこだわり

天神自然農園―米日記自然栽培とは

私が農業を始めて6年目、最初の一年目は、見様見真似で、通常通りの
「慣行栽培」でお米づくりをしてみました。

初めての米作り。

習ったままに作ってみました。

まずは苗作りのときから、1回目の毒毒しい、青い農薬プールに漬け消毒をします。

出芽してから消毒。

苗作りから農薬漬けなんです。

これだけではありません。田植えをしてから除草剤2回。この除草剤を撒くと田んぼに
出る回数が減って人間は大変楽なんです。もちろん、草取りのため田んぼに入ること
など一切ありません。でも除草剤を、まいた後の田んぼは、カエルたちが皆死んで
しまいます。

そして、害虫駆除の農薬散布。。。

田んぼの中は農薬だらけです。

虫たちは当然全滅。めだかもミツバチもいなくなるわけです。

そして、人間だけが残ったお米を食べる。

自分が抱いていた、ほのぼのとした農業の姿とは全く違ったものでした。

そこで、2年目からは、完全に無化学肥料、無農薬でお米を作ることを決意し、
マメ科植物ヘアリーベッチを利用した有機農業を実践しました。この時、
家畜系の堆肥を一切使わないマメ科植物を利用した方法を実践した事が
後に自然栽培に行き着くにあたり、とても良かったと感じております。

マメ科の緑肥作物を使えば収穫量は上がるのですが、どうしても肥効が
効きすぎて稲が倒伏してしまったり、病気になったりしてしまいます。

試行錯誤の末、3年前に最善の方法、有機質肥料でさえも使用しない、
無肥料・無農薬の「自然栽培」でお米を作ることに成功しました。

ところで皆さんは、どんな味のお米がお好みですか?

一般的に、甘みとか、香りが良いとか、粘りがあるとか人によって好みは、まち
まちですが、皆さんが美味しいと感じる味、それは肥料や品種改良によって味付
けされた味なんです。

化学肥料というのは、よく作られていて、ただそれを撒くだけで、皆100点満点で
言うと80点位の味のお米が出来てしまいます。堆肥や有機質の肥料を使った
場合は、気温によって肥料の効きにムラがでますので、味の調整がしにくく
なります。だから、60点の出来になったり、稲が倒れてしまうことがあったり
するのです。

あっ!そういえば、倒れている田んぼで収穫されたお米を食べてはいけませんよ。
倒れるのは、肥料のやりすぎによる稲の病気です。米粒にも硝酸態窒素がたくさん
残っていますので、食べた人も病気になってしまいますよ。野菜も同じ、なるべく
緑の薄い硝酸態窒素濃度が低い野菜を選ぶ習慣をつけてくださいね。

基準の厳しいEU圏では売ることの出来ない硝酸態窒素濃度の高い野菜が、
スーパーでは当たり前のように売られています。

では、本当のお米とは、どんな味なのでしょう?

化学肥料や農薬・除草剤、更には家畜堆肥等の有機質肥料さえも使用せずに
作られたお米は、無の味がします。要は、その辺に生えている草と同じなのです。
漢方薬と同じと言えば分かりやすいかもしれませんね。

現代人好みの味に仕上げたければ、窒素を控え、根に石灰を、葉に苦土を施して
あげれば美味しいお米が、いとも簡単に出来ますが、私はあえて究極の安全を
求めているのです。

肥料によって味付けされたお米に慣れている現代の人達には、少し、物足りなさ
を感じます。本当に、素朴な味なんです。

よく、私のお米を食べてくださった、ご年配の方が、昔のお米の味がするとおっ
しゃられます。なぜでしょうか?
そうです。その昔、肥料が無い時代には、皆が私と同じ、田んぼに収穫後のイ
ナワラを返すだけの無肥料稲作で作っていたのです。
そうやって出来たお米は、天皇陛下や、各地の大名たちが、食されていたそう
です。

それが徐々に人間の欲で、化学肥料を使って多収する技術が生まれ、多肥に
よって稲が虫たちの餌になってしまえば、農薬を撒いて虫を殺し、更には、
田んぼの中の草を取るのが大変だからと、昭和29年には、除草剤まで
作ってしまいました。これが後に公害問題に発展しています。

全てが、自然界を全く無視した、人間の都合、そして欲だった訳です。

そんな農産物を食べ続ける現代人が、成人病や、アレルギーになるのは必然とい
えるでしょう。4~50年前、ほとんど聞かなかったこれらの病気が、なぜ
これだけ増えてしまったのか?その意味を考えるべきではないでしょうか?

はっきりといいます。国内の、どんな地域でも、お米は、太陽と水と土があれば
無肥料で作る事が出来ます。
そして、無肥料で作られたお米は腐りません。

更に、私が作っている朝日(旭)は、現在作られている中で、唯一の在来種。
明治41年に、山本新次郎さんという方が、日の出という稲の中から、偶然
発見されてから、今まで、一切の品種改良(交配)をされていない品種になります。
東北のササニシキや、コシヒカリ等、現在市場に流通する、ほとんどの品種の
祖先にあたる品種なのです。

今、この国で作られるお米は余っております。高度成長期で人口が増え続けてい
た時代ならいざ知らず、今の時代に、お米を多く収穫する意味などあるのでしょ
うか?

無肥料で、お米を作った場合、草に勝てれば6俵くらい、草と共存すれば5俵くらい、
完全に草に負けてしまえば3~4俵の収穫量となります。

田植え後は、稲以外の色々な草たちが生えてきますので、生物層が豊かに
なります。虫たちにとっても、隠れる場所、いわゆる稲の下に生えている一般に
雑草と呼ばれている草たちが必要なのです。

草と共存させながら、最後には、ほんの少しだけ稲が勝っているというのが、自
然界にとっても理想の姿なのです。

日本中のお百姓さんたちが私と同じように、決して多収しようとせず、草を敵と
思わずに共存させる事を心掛け、大自然に感謝しながら、ほんの少しだけ
人間が食べるだけのお米を戴くという気持ちの稲作をする事が出来るように
なれば、現代の農業が抱えている様々な問題を徐々に解決へと導くことでしょう。

1日も早く、そういう日が来ることを切に願っております。

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